今回掲載メルマガは、
手紙&はがきの書き方シリーズ 〜第4弾〜
時候の挨拶についてです↓
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季節の美しい日本語にふれてみるのはいかが
お客さまに手紙やはがきを出すとき、季節のあいさつ、つまり
時候のあいさつを覚えておきたいものです。
1月なら「新春の候」「厳寒の候」「厳冬の候」などが文頭に使われます。
拝啓 大寒の候、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
拝啓 大寒のみぎり、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
という具合です。でも、「なになにの候」とか、「なになのみぎり」
とすると、堅苦しくなると感じるならこんな書き方でもいいでしょう。
「寒さ厳しきおりから」だといくぶん柔らかくなりますし
「例年にない厳しい寒さですが」とか、
「記憶にないほど寒い日がつづきますが」とすると、
ぐっとカジュアルな感じがするのではないでしょうか。
法人のお客さまにお出しする場合、例文集のようながちがちの
手紙やはがきもいいでしょうし、そのように書くことを求められることもあります。
ですが、個人のお客さまへの場合なら、営業パーソンの人柄が出るような
文章のほうがいいかもしれません。ただ、カジュアルな中にも、
形式の美しさを兼ね備える手紙やはがきもいいでしょう。
「拝啓」、「謹啓」などの頭語に続き、時候のあいさつ、
「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」というような
前文がきて、「いつも格別なお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます」
と感謝のあいさつのあと本題がくるという順番です。
もちろん、最後は「時節柄、お身体ご自愛ください」などという結び文がきて、
「敬具」「敬白」などの結語で締めます。
話を時候のあいさつのパターンに戻しましょう。
主なものは以下の通りです。
2月「立春の候」「早春の候」「晩冬の候」「向春の候」
3月「早春の候」「春暖の候」「春分の候」「浅春の候」
4月「陽春の候」「仲春の候」「桜花の候」
5月「残春の候」「惜春の候」「新緑の候」「初夏の候」「軽暑の候」
6月「初夏の候」「入梅の候」「桜桃の候」「向暑の候」「薄暑の候」
7月「盛夏の候」「炎暑の候」「大暑の候」「酷暑の候」「仲夏の候」」
8月「残暑の候」「晩夏の候」「残暑の候」「初秋の候」「秋暑の候」
9月「初秋の候」「新秋の候」「清涼の候」「新涼の候」「爽秋の候」
10月「秋冷の候」「清秋の候」「錦秋の候」「秋麗の候」
11月「晩秋の候」「向寒の候」「暮秋の候」「寒気の候」「初霜の候」「菊花の候」
12月「初冬の候」「師走の候」「霜冬の候」「寒冷の候」「歳末の候」「歳晩の候」
これらの言葉を使わなくても、もちろん季節を表すことができます。
ですが、これらの日本語の奥深さを感じませんか。
ちょっと覚えておくだけで心が豊かになるかもしれません。
ある営業パーソンは、これらの時候のあいさつとともに、
自ら描いた季節を象徴する挿絵を添えます。趣味が絵画というF氏は、
ある時は水彩、ある時はパステル、またある時は切り絵まで、
そのバージョンも豊富です。お客さまに誕生日や記念日をめがけて
年に1回しか出せないといいますが、お客さまの中には
家に飾ってくださるようなファンもいるそうです。
「もう止められません」とF氏が言うように、すっかりお客さまに定着して、
保全にも大いに役立っているようです。
趣味じゃなければなかなか続かないかもしれませんが、
ほぼ毎日1枚は書いている計算になるそうです。
(2011.1.12配信 ASSUMEメルマガ)