過去メルマガ記事≪共済年金≫
2015.12.1配信 ASSUMEメルマガ
平成27年10月に厚生年金と共済年金が一元化されましたが、公務員の人にとっては大きな打撃になっているようです。
在職老齢年金とは、働きながら公的年金をもらうことを言いますが、多くの場合、年金額が削減されてしまいます。
この仕組み自体は、民間会社に勤めるサラリーマンであろうが、公務員であろうが、等しく適用されるものですが、公務員から民間会社に転職(いわゆる天下り)の際にはかなり優遇されていました。
具体的に言えば、民間会社の人が60歳以降も働き続ける場合、「給与+年金」が28万円を
超えれば厚生年金の支給調整が行われて、超えた分の半分が支給停止となります。
つまり、給与が20万円、年金が15万円であれば、その合計は28万円より7万円多いため、その半分の3万5千円の厚生年金が支給停止となります。
ところが、公務員から民間会社に天下りをした場合、この年金支給停止の基準額が28万円
ではなく47万円でした。これが10月から、公務員から民間会社に天下った場合でも28万円が基準値とされ、公務員と会社員の格差の解消が図られています。
民間会社に勤める人からみれば当然と思うことかもしれませんが、公務員の人にとっては
厳しい改正となって います(ただし、激変緩和策が設けられています)。
公務員の人が加入していた共済年金には「転給」があり、これも官民格差としてやり玉に
あがることが多くありました。
転給とは、受給権者が亡くなった場合、次順位の人がその受給権を得ることを言います。 一例をあげると、夫を亡くした妻(子どもはいない)が遺族共済年金を受け取っていたとき、この妻が亡くなると、亡き夫の父母に受給の権利が移るというイメージです。
もちろん受給権発生時に生計を維持されていること等の条件はありますが、批判の多い
制度であり、今回の一元化を機に「転給」の制度そのものが無くなりました。
「亡き夫の父母」は年金制度上「10月以降は遺族ではない」とされますので、事例の妻が
亡くなった場合、その時点で年金の支給は終わることになります。
同じく遺族年金の話ですが、遺族厚生年金では従来から障害状態1級・2級に該当する
子どもには「20歳未満」という年齢制限があったのですが、共済年金には年齢制限はなく、障害状態に該当している限り何歳になっても遺族共済年金を受け取ることが可能でした。
これが、10月からの一元化によって公務員の遺族にも20歳未満という制限がかかるよう
になりました。
9月までに遺族共済年金の遺族として認定され、年金を受け取っている20歳以上の障害状態にある子どもは10月以降も引き続き「遺族」として年金を受け取り続けることができるのに対し、10月以降に発生する遺族年金の場合、20歳以上の障害状態にある子どもは「遺族」にはなりません。 親の死亡月がひと月違うだけで、「年金をもらい続けることができる子ども」と「まったく年金をもらえない子ども」に分断されてしまうのです。
制度改正の境目でやむを得ないことなのでしょうが、あまりの境遇の違いに恨みごとのひとつも言いたくなる公務員の人も少なくないのではないでしょうか。
各共済組合などでは、様々な媒体を通じて厚生年金と共済年金の一元化による制度変更の周知徹底をはかろうとしていますが、年金制度に興味を持つのは定年間近の人が多いため、老後の年金にスポットが当てられがちです。
しかし、万一の際に遺族の経済的苦境を救うべき遺族年金についても内容が変わっています。 募集人の皆さまにおいては、現役世代の公務員の方々に年金制度の変更点をお伝えし、自助努力の必要性をPRされてはいかがでしょうか?