過去メルマガ記事≪教育資金の一括贈与≫

2015.10.8配信 ASSUMEメルマガ
子どもの教育費の捻出に頭を悩ませている親は多いものですが、平成25年度から始まった
教育資金の一括贈与が好調です。一般社団法人信託協会の調べ
によると平成27年3月末
時点の累計で「件数→約11.9万件」「金額→約8,030
億円」となっています。1年前の実績
が「6.7万件、約4,476億円」ですから、
ほぼ倍増の勢いです。
当初、平成27年12月までだったこの制度は、平成27年度税制改正によって平成31年3月
まで延長されています。
人気を博している制度ではありますが、手続きそのものは非常に面倒です。
多くの場合、「祖父母」が「孫」に贈与する形になりますが、孫は未成年の場合が多く、
間に「子どもの親」が介在します。そのため、関係者が3人いることになり、それぞれの
本人確認
が必要となります。
また、「祖父母〜親〜孫」の関連を明らかにするために、戸籍等の公的な証明が必要
となります。記入する書類も「贈与する側」と「贈与される側」それぞれ複数種類のもの
を用意する必要があるため、「祖父母」と「孫」が離れて住んでいる場合には結構な
手間となります。
遠く離れた“おじいちゃん、おばあちゃん”が間違わないで一発で書類を書き上げるのは
至難の業かもしれません。 無事、加入の手続きが済み、贈与資金を口座に振り込めば“おじいちゃん、おばあちゃん”
の役目は終わるのですが、「孫」側がお金を引き出すのも一苦労です。贈与されたものを
無税で使えるわけですから、厳格であることは仕方ありませんが、お金を引き出す際の
「領収書」は厳しく要件が問われます。 今の世の中、高校や大学の授業料は口座からの引き落としがメインとなっていますが、
教育資金として贈与されたお金を引き出すには、「通帳のコピー」を提出するだけでは
認めてもらえまえせん。通帳コピーに加え、学校側の「振込依頼文書」等を添付する
必要があり、それには「@支払金額 A金額 B上期分や年間分等がわかる記載 
C支払者の宛名 D支払先の名称 E支払先の住所」の6要件が明記されていな
ければなりません。 さらに、大学の授業等で使う書籍を購入した場合、その領収書が一般書店や学校
生協などのものでは基本的に使えません。この場合、学校側が購入先を指定した
文書等があれば使えますが、それ以外は不可となります。
当然のことですが、文房具等を近所のお店で購入した場合の領収書も教育資金の
一括贈与のお金の引き出しには使えません。 「孫のために…」という愛情表現と、「相続税を減らしたい…」という金銭面の課題
解決の両者を満たす商品として人気が高い教育資金の一括贈与ですが、先の
信託協会のアンケートでも6割の利用者が「領収書記載事項の簡略化」を希望
しており、決して使い手の良いものではありません。
もちろん、受け手側(事務受付)の信託銀行の手間も相当のものとなります。
とはいえ、ひとりあたり700万円近い金額(8,030億円÷11.9万件)が贈与されて
いる訳ですから、孫4〜5人への贈与だとすれば 3,000万円程度の相続税課税
対象額の引き下げとなります。ひとりあたりの限度額1,500万円まで活用すれば、
かなりの課税額の引き下げが可能となります。 孫の喜ぶ顔を見ながら相続対策ができるとなれば、人気商品となるのも納得
できるところです。
信託銀行側としても、贈与ができるほどの裕福な顧客の囲い込みが黙っていても
できるわけですから、今後の商売を考えれば、手間暇を惜しまず口座獲得に
突っ走ることでしょう。