過去メルマガ記事≪国民年の保険料納付率は6割≫
2015.8.28配信 ASSUMEメルマガ
平成26年度の国民年金の保険料の納付率が63.1%だったという結果が、「平成26年度の国民年金保険料の納付状況」で発表されました。
国民年金の保険料は、過去2年分までであれば利息無しで後から支払うことができるため、63.1%という数字は「現年度納付率」と言われるもので、その年度に納めるべき保険料がどの程度きちんと納められたかどうかを示している数字です。
この6割少々という数字は、厚生労働省の見解によると好結果だったいう評価がなされているようですが、そのあたりを検証してみたいと思います。
過去4年間の現年度保険料納付率は以下のとおりです。
・平成23年度→58.6%(過去最低納付率)
・平成24年度→59.0%
・平成25年度→60.9%
・平成26年度→63.1%
数字をみれば一目瞭然ですが、平成23年度に史上最低の納付率を記録した後、そこから回復基調になりつつあるようです。回復の要因は、厚生労働省や日本年金機構の努力もありますが、「市場化テスト」という名称で行われている民間業者を活用した未納保険料徴収対策の効果の賜物ともいえるものです。
実際にどのような未納保険料徴収対策を行っているかというと、まず「特別催告状」といわれる通知が未納者あてに出されます。
特別催告状は、保険料の長期未納者などの中からピックアップされ、日本年金機構側が送ります。
その後、「市場化テスト受託事業者」と呼ばれる民間業者が、電話や訪問を行ってフォローを行い、未納保険料の支払いを促す流れとなっています。
もちろん、日本年金機構本体も電話督励などは行っていますが、機動力を含めた徴収ノウハウは民間業者に委託する方が効率的なようで、平成17年10月にわずか5か所からスタートした市場化テスト事業は、いまや全国の年金事務所に拡大されています。
この「特別催告状」から「民間業者のフォロー」の流れで、いったいどのくらいの効果があったのでしょうか。
平成26年度のデータでは「特別催告状送付件数」が989万件、そのうち「保険料納付」となったものが764万月分となっています。
この数字だけみてもピンとこないので、国民年金保険料を概算で15,000円としてお金に置き換えてみましょう。
・国民年金保険料→15,000円×764万月=約1,146億円
あくまで机上の計算値ではありますが、なんと1千億円以上もの未納保険料が徴収できているということがわかります。
もちろん、特別催告状の他に民間業者への支払いなどのコストはかかってはいるものの、この数字からは、民間業者を使った保険料徴収対策の効果は非常に高いということが言えるのではないでしょうか。
※ただし、強制徴収まで行った場合、徴収額100円に対し90円ぐらいのコストがかかるという試算もあるようで、費用対効果は別の問題かもしれません(第1回社会保障審議会年金部会 年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会資料より)。
とはいえ、まだまだ保険料を支払っていない人は数多く、前述の特別催告状による納付督励の「対象月数は10,074万月分」にもなり、そのなかで「納付されたものが764万月分」ということですから、回収率としてはわずか7.6%に過ぎません(別に保険料免除等になったものは 691万月分あります)。
そして、度重なる納付督励を行っても納付の意思がない場合には「最終催告状」という通知が送られ、最後には差押が実施されることとなります。
平成24年度6,208件、平成25年度10,476件だった差押件数は、平成26年度は14,999件となり、急激な勢いで伸びていますので、いかに機構側が未納対策に本腰を入れているのかがわかります。
ちなみに、日本年金機構が個人の所得情報をつかんでいるかどうかですが、 平成26年11月時点で、全市町村の99%から所得情報の提供を受けているとのことです。
募集人の皆さまには、「国民年金保険料はきちんと納めましょう」とお客さまにアドバイスすることが賢明と思われます。