過去メルマガ記事≪父子家庭への遺族基礎年金支給開始から考えること≫
2015.7.23配信 ASSUMEメルマガ
読者の皆さまでご存じない方はいらっしゃらないかもしれませんが、平成26年4月より父子家庭にも遺族基礎年金が支給されるようになっています。
ということは、生命保険の必要保障額についても見直しのチャンスがあるのではないでしょうか。
そのあたりについて統計数字を絡めて考えてみたいと思います。
基本的なことですが、遺族基礎年金は子どものいる場合にしか支給の対象にはなり得ず、その子どもが18歳年度末、つまり高校卒業後には受給権そのものが消滅する有期の年金です。
受け取ることのできる年金額は、基本額が約78万円で、子ども一人につき約22.5万円(3人目からは約7.5万円)が加算されますから、父親と子ども一人が残された場合は年間約100万円という金額が目安となります。
ここでの注意点は受取側の年収が850万円(所得では655.5万円)以上と認められる場合は、はじめから遺族基礎年金を受け取る権利が発生しないことですが、ここでは考慮しません。
さて、厚生労働省が発表している「平成23年度 全国母子世帯等調査」は、母子家庭だけでなく、父子家庭の調査も行われています。
その中に、父子家庭になった時の子ども(末子)の年齢の調査があり、その平均年齢は7.1歳となっています。
あくまで平均値の話ですが、父子家庭の方々は遺族基礎年金を平均約11年分受け取れるということになります。
前述の父親と子ども1人への遺族基礎年金が約100万円ですので、おおざっぱな計算では、遺族基礎年金が父子家庭に支給されるようになったことにより、奥さまが亡くなったときの必要保障額が1,100万円少なくても良くなったともいえます。
「なんだ、保障額が少なくても済むんだったら保険が売れないじゃないか!」と思われる方もいるかと思いますが、そこは視点を変えれば「既契約の見直し」ができるということにつながります。
奥さまが高額の死亡保障に入っているとすれば、死亡保障額を少し下げて医療保障面の充実を図る提案ができます。
死亡保障額がそれほどでもない場合には、介護保障などの充実に目を向けていただく等、
アプローチの手法はいろいろと考えていけるのではないでしょうか。要はきっかけをどうつかむかであり、その後の展開は皆さまの募集力の発揮のしどころともいえます。
なお、実際のところ、父子家庭となり遺族年金をもらう世帯が爆発的に増えるかというと、そんなことはないことは先刻の統計数字からも読み取れます。
前述の母子家庭等調査では、父子家庭は全国で約22万世帯ほどと推計されています。
また、配偶者と別れた原因のうち遺族年金の受給対象となる「配偶者との死別」の割合は16.8%となっています。
つまり、奥さまが亡くなったことで父子家庭となる世帯は4万世帯弱(22万世×16.8%)に過ぎないのです。
この中には子どもの年齢が18歳年度末を超えている場合や、親の年収が850万円以上のケースも含まれているでしょうから、実際の遺族基礎年金 の対象世帯はもっと少なくなるはずです。
総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成26年1月1日現在)」によれば、日本全国の世帯数は約5,595万世帯ですから、全世帯で父子家庭の占める割合は、まさに「万一の場合が起こったとき」のような確率です。
ただ、そういった方々に安心をお届けするのが募集人の皆さまのお仕事でもあります。
今回のキーフレーズは
①遺族基礎年金は父親と子ども一人で「年間約100万円」
②父子家庭で遺族基礎年金を受け取れる期間は「平均約11年」
です。
もちろん、極めて単純化した場合の数字ですので、家族構成その他の条件を含めてきちんと情報収集したうえでコンサルティングをしていただくのはもちろんですが、お客さまとの話題のきっかけのひとつとして、上記の数字を覚えておいて損はないと思います。