過去メルマガ記事≪後から払うのは楽じゃない≫
2015.6.11配信 ASSUMEメルマガ
20歳を超えれば成人であるとはいえ、まだまだ親のスネをかじっている人も多いものです。
そこで利用されているのが国民年金の「学生納付特例」で、日本年金機構に申し出ることで毎月の保険料(平成26年度で15,590円)の支払いが猶予されることになっています。「20歳以上の日本に住所を有する人」は国民年金の第1号被保険者であり、これは収入のない学生であろうが例外ではありません。
しかし、現実に保険料を支払っている学生は少なく、多くが「学生納付特例」を利用しています。
厚生労働省の調査によれば、全体の約6割が学生納付特例を利用し、保険料を支払っているのは2割ほどとなっています(平成23年国民年金被保険者実態調査)。
その手続きはといえば、意外なほどに簡単です。
毎年4月になれば、丁寧なことに日本年金機構から対象の学生あてに封筒が送られてきます。その中に返信用のハガキが入っており、必要事項を記入して送り返すだけで手続き完了です。年金事務所に行く必要もありません。
しかし、その簡単な手続きさえせずに、「滞納者」となっている人も1割程います。
こうなると、万一、障害状態(2級以上)になった場合でも保険料納付要件を満たさないため障害基礎年金の受給の権利もありません。
ハガキの返信ひとつ怠ることで、生涯数千万円の保障が受けられない恐れがありますので、面倒がらずに手続きしておくことが大切です〔障害等級2級であれば、20歳〜65歳までの45年間で3,500万円超(約78万円×45年間)となります〕。
ご存知の方も多いでしょうが、学生納付特例として猶予された期間は「年金を受け取るための受給資格期間」には算入されますが、保険料を支払っていない「カラ期間」の扱いとなり年金額には反映しません。
そのため、10年以内であれば追納することが可能となっています。
しかし、追納は「現在の保険料」を支払いつつ「過去の保険料」まで合わせて支払うということですから経済的には簡単なことではありません。
学生納付特例を利用した大学生の親である某氏は、「子どもの将来ために」との親心から追納をしてあげたそうですが、「去年と今年の保険料を支払うとなると月3万円以上となり、出費としては結構きつい」という感想を漏らしています。
1年分の保険料で19万円弱(15,590円×12ヵ月)となりますから、数年分溜まってしまうと相応の金額となってしまいます。
社会人になってから払えば良いと考える人もいますが、学生時代に奨学金を借りている人も多く、払わなくても何も言われない国民年金の保険料の追納の優先度は高くはありません。
結局は、多くの場合「追納しないで老後の年金が減る」ということになってしまうのでしょう。
国民年金の受取額の満額は月約6.5万円ですが、老齢基礎年金だけを受給している人の平均月額は5万円を割り込んでいます(平成25年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)。
学生納付特例など、保険料を支払わずに済む制度が充実すればするほど、老後の年金額が減ってしまうのが公的年金の仕組みです。
月5万円の収入で豊かな老後を迎えられるはずもありませんが、幸いなことに生保各社には自助努力のための豊富な商品ランナップが揃っています。
募集人の皆さまには豊かな老後のための自助努力の必要性を声高くアピールしていただきたいものです。