過去メルマガ記事掲載≪NISA制度 投資を始める前にこれだけは知っておこう(1)≫
2014.3.28配信 ASSUMEメルマガ
「貯蓄から投資へ」これ程、日本の金融資産に対する特徴的な現状を表した言葉はないであろう。
昔から、貯蓄、安全志向、元本保証、銀行主義こんな言葉が日本の金融資産に対して使われてきた言葉だ。
さて、これまで安全第一で貯めてきたお金だが、貯めるだけでなく積極的に投資することを考えると、打って出る前に、どんなリスクにさらされるかを知っておくことは必須だ。
投資に纏わるリスクにはどのような種類が有るのであろう。今回のNISA制度対象の金融商品つまり株式、債券、投資信託、REIT,ETFにはそれぞれ特徴的なリスクがある。
しかし投資の対象のリスクを考える前に、そもそも「投資する事」そのものが抱えるリスクを知っておく必要がある。
その1.為替のリスク 「アメリカの株式、アジア諸国の株式、ブラジルの債券、世界のREIT」さてこれらの投資に共通する特徴は何だろう?
そう、すべて海外への投資だ。
アメリカ株式は米国ドル、アジアではシンガポール・ドル、タイ・リングイット、中国・元、ブラジルではリアル等、これらが彼らの国の通貨であり、日本円から見ると外国通貨の株式や債券などを購入することになるのだ。
一方、我々は、普段、日本の円で給料をもらい、日本円で支払い、そして貯金をする。日本で通用するのは日本円なので当たり前だ。
もちろん、上に掲げた投資信託を例えば証券会社で買う時も円でお金を払う。と言うことは、証券会社から運用会社へ移された我々のお金を購入する投資対象の国の通貨と交換するために、その時の外国為替交換レートを使って外国通貨を購入するのだ。
テレビやラジオで「今日の米国ドルと日本円の交換レート、ユーロと日本円の交換レートは、1ドル=102円、1ユーロ=140円・・・」と言う時のレートが交換に使われるスポット・レートだ。
例えば、1ドル=102円 1ユーロ=140円というと、今、102円で1ドルが売買できる、140円で1ユーロが売買できるということだ。
少し詳しく解説すると、スポット・レートというのは、本日その時点で、銀行同士で売買できる交換レートだ。
これはあくまで銀行の間で売買出来るレートであり、我々が実際に銀行等に行くと、この世界中からの需給関係で時々刻々と変わっている交換レートが使われる訳ではなく、その一日、決められた交換レートでドルやユーロを売買することになる。
本日の交換レート
1ドル=119円(TTB)、
1ドル=121円(TTS)
銀行に行くとこのような表示がされていると思う。
さてここで、少し頭の体操だ。
この暗号のような表示は一体どのように理解すればいいのだろう。
1ドル=119円(TTB)とは、銀行では、お客が窓口に1ドルを持っていくと119円で買いますよ。
と言う意味だ。
だから、自分の手元には119円来ることになる。
それに対して、1ドル=121円(TTS)とは、銀行では、お客が1ドルほしい場合、窓口で121円出せば売ってあげますよ。
と言う意味だ。
だから、自分は121円出して1ドルを手に入れることになる。
余談だが、最後に付いているTTBとは「Telegraphic Transfer Buying」=電信買相場、TTSとは「Telegraphic Transfer Selling」=電信売り相場の略だ。
昔は、海外送金の際などテレックスで売買を行い、処理をしていたため、Telegraphic Transfer と呼ばれたが、その名称が残っている。
このTTB,TTSという売買の交換レートは2円の差がある。銀行は、ドルをお客から安く買い、高く売るという仕組みでその差は銀行の収益となる。
基本的には銀行ごとに午前10時のスポット・レート(TTM即ち、TTBとTTSの中間(仲値という)を元にTTMからマイナス1円(TTB),TTMからプラス1円(TTS)と決めて公表している。
それぞれの通貨ごとに各銀行は交換 レートを発表しているのだ。
日本の投資信託を例にとると、このTTMを購入価額の基準にして日本円で評価している。 さて、次回はこの交換レートの動きが我々の投資にどの様に影響を与えるのかを解析しよう。