2014.4.25配信　ASSUMEメルマガ

前回は「投資を始める前にこれだけは知っておこう！」と題して2回にわたり、外国の株式や債券などへ投資をする時に、外国為替が投資に与える影響が大変大きいことを書いた。読者には、外国為替のレートの変動が与える影響の大きいことがお分かりいただけたことと思う。

「貯蓄から投資へ」と大号令が掛かっても、昔から、貯蓄、安全志向、元本保証、銀行主義など、こんな言葉が個人にとってはなじみであった世界から、投資の大海原へ漕ぎ出すには、どんなリスクにさらされるかを知っておくことが大切なことがわかる。

 

今回のNISA制度対象の金融商品つまり株式、債券、投資信託、REIT、ETFには外国通貨建て資産への投資、即ち、海外への投資が多かれ少なかれ入っている。

ということはとりもなおさず、外国為替のリスクを自分自身でよく理解し、意識して取引する必要があるということだ。

さて、今回は、引き続き外国為替の重要性をもう少し掘り下げてみよう。まずは投資信託で使われる外国為替だ。
これには2種類の外国為替レートが存在する。

１つは、我々、投資家が投資信託を購入する時の投資信託の 基準価額の算出に使われる外国為替だ。

これがロンドン時間（午前11時）に仕切られるLIBORのTTMという外国為替レートだ。

これでは、何だか良くわからないので、少し説明しよう。 「LIBOR」の、 「L」Londonを指し、ロンドン時間を実質的に意味している。

「IとB」は、Interbank　の「I」と「B」で、銀行間取引と言う意味だ。

「O」は、Offeredで　提供するなどの意味だ。

「R」は、Rateで　まさにレートを意味する。

総合すると、ロンドン時間に決まる銀行間の取引で使用される外国為替レートと言うことだ。LIBORは、毎営業日のロンドン時間の午前11時に、指定銀行（リファレンスバンク）に対してヒアリングし、上下数行の数字を除いた平均値が発表されている。

このLIBORは、英国銀行協会（British Bankers' Association：BBA）により、通貨別（USD、EUR、JPYなど）や期間別（1カ月、3カ月、6カ月、1年など）の資金の借り入れレートを表し、金融機関の外国為替の交換基準や 資金調達コストの目安となると共に、国際金融取引の基準値（国際的な融資取引やスワップ金利などデリバティブ商品の基準金利）としても利用されている。

TTMは、「Telegraphic Transfer Middle Rate」の略で、日本語では「公表仲値」や「電信仲値相場」、単に「仲値」とも呼ばれ、顧客が金融機関で外国通貨（外貨）を売買する際の基準レートをいう。

日本では金融機関の 毎営業日の午前10時頃に発表されるもので、外国為替市場（インターバンク市場）の取引実勢レートを基準（参考）にして金融機関毎に決定される。投資信託の外貨建ての資産に係る交換レートの場合は、上記のロンドンの 為替レートのTTMということになる。

2つ目は、運用会社が、証券会社から信託銀行に移動させた資金を運用する際にその都度金融機関市場で（例えば、日本円を米国ドルに換えて外国通貨建て資産を買いに行くときに交換するレート）外国通貨に交換するレートだ。

これは前記の投資信託の購入者との値決めの基準価額のための仕切りレートであるLIBORではなく、実務として運用会社が外貨建ての資産に投資をするために使われる時々刻々と変化するスポット外国為替レートと言う事になる。

つまり、投資信託の基準価額に使用される外国為替レートと実際の投資行動に使われる外国為替レートは別なのだ。