過去メルマガ記事掲載≪NISA制度 投資信託を解体するその5≫
2014.8.8配信 ASSUMEメルマガ
前回から引き続きファンド・オブ・ファンズ(Fund of Funds以下FoFs)を考えてみたい。これを投資期間の切り口でFoFsの例を考えると、ライフ・サイクル・ファンドがその代表例だ。
ライフ・サイクル・ファンドとは、通常、シリーズで複数の投資信託を立ち上げる。
それぞれのファンドはそれぞれの投資期間が定めてある。
例えば、5年間で満期を迎えるファンド、10年、20年、30年とそれぞれ満期を長くした4本のファンドを同時に立ち上げるのだ。
4本のファンドは株式、債券、REIT(不動産)など性質の違う資産に投資する投資信託を購入して組入れるが、その組入れ割合を最初から定めて、投資期間の最後までその割合を崩さないのだ。
例えば、5年で満期のファンドでは期間が短いため、株式10%、債券70%、REIT20%などとして、値動きの大きい株式への投資割合を少なくして、安定的なリターンを期待する。
30年の長期満期のファンドでは、逆に株式70%、債券20%、REIT10%として大きくリスクを取る代わりに大きいリターンを期待する。
このファンドの特徴は、それぞれ期間で取れるリスクの許容量を調整する考え方にあると言える。
一般的に若者は、投資期間を長く、リスクを大きく取っても大丈夫だ。
具体的には株式などに投資する割合を増やして、大きく儲かるチャンスを待つファンドだ。
反対に、年配者は投資期間もそれほど長くなく、大きくリスクを取って損を出してしまうと、老後の資金などに大きな悪影響を及ぼすことになってしまう。
即ち、5年の投資期間のファンドでは、あまり大きくリスクをとると、投資期間が短いために損失を出したままで投資期間を終了してしまう可能性が大きい。
従って、ファンドとしては株式に投資する投資信託の様に大きく益も出るし損も出る可能性のあるファンドには量を減らして投資し、債券に投資する投資信託の様な安定的なファンドへ投資する割合を多くするのだ。
これらの考えから投資する投資信託の性質と投資割合を定めて組入れたのがライフ・サイクル・ファンドだ。
一般に、このファンドは、「生涯かけての資産構築」として若者から退職後の年配者までに対応したファンドなのだ。 因みに、上記の例では、FoFsの形の説明をしているが、ファンドの中身を直接株式、債券、REITへの投資を行い、その割合を設定することも当然可能だ。
現実的に運用されている投資信託の形を見ると、FoFsとはいえ、投資する先が複数ファンドの定義の最低限である2つの投資信託に投資するファンドもある。
しかも、その片方に90%〜95%と大部分を投資する。これは、実質的に大部分を投資する投資先ファンドの成績に大きく左右される、即ち、1つのファンドに性質が近いがFoFsと言える投資商品だ。
さて、FoFs(ファンド・オブ・ファンズ)の概要をお分かりいただけただろうか。
少し、言い回しに凝り過ぎたきらいが有るので、機会があればまたどこかで説明しよう。