過去メルマガ記事掲載≪医療保険制度を守るための負担≫
2015.3.13配信 ASSUMEメルマガ
既にご存じの方も多いでしょうが、入院時の食事代の自己負担額が増える予定です。
まだ正式な決定ではありませんが、社会保障審議会の資料では1食あたり260円の自己負担額が、平成28年度には360円に、平成30年度には460円に引き上げられます(所得区分が一般の人の場合)。
改正の趣旨は「入院と在宅療養の負担の公平を図る」ということで、在宅療養でも負担する食材費相当額と調理費相当額の負担をしなければいけないということです。
1日3食であれば1,380円となりますから、1ヵ月入院すれば食事代だけで4万円を超える負担となります。
今年1月から 高額療養費の自己負担の上限も引き上げられていますので、入院時の自己負担はますます多くなっていきます。
なお、食事代の自己負担については、残念ながら高額療養費の対象にはならないため、純粋に負担だけが増していくことになります。
高額療養費等について、一部の健康保険組合では「自己負担は2万円まで。それ以上は健保組合負担」というような優遇(付加給付)が行われていることがあります。
これはその健康保険組合の財源に余裕があるために可能なことですが、この余裕財源が狙われています。それが「後期高齢者支援金の全面総報酬制割」の問題です。
後期高齢者医療制度については、「高齢者の保険料1割」、「公費5割」、「現役世代の保険料4割」の負担割合が原則とされ、この4割の現役世代の負担が「後期高齢者支援金」であり、実に6兆円もの金額が投入されて います。
この6兆円を、国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合などの保険者が共同負担していますが、負担方式は加入者の人数割です。
しかし、財政的に厳しいところもあり、数年前から特例措置として総額の3分 の1を「総報酬割」としています。
これを全面的に総報酬割にすることがスケジュール化されています。
現時点では、平成27年度に2分の1、平成28年度に3分の2に引き上げ、平成29年度から全面総報酬割への移行が予定されています。
これが 実施されると、加入者の報酬水準の高い健康保険組合などは多額の負担を強いられてしまいます。
社会保障審議会の議論の場でも、負担増が予測される保険者の代表の面々からは「苦しくなったら取りやすいところからとるというのは如何なものか」と怒号にも似た声があがっていましたが、より負担能力に応じた負担にするという医療保険制度改革の流れを止めることはできません。
大企業に勤務し、財源に余裕がある健康保険組合に加入している方も、今後は健康保険料率のアップや付加給付の削減などの負担が増えていくことになると思います。
アベノミクスで給料が上がったとしても、他の支払いが増えるようでは喜びも半減といったところでしょうか。