過去メルマガ記事掲載!≪NISA制度の将来(1)≫
2013.11.8配信 ASSUMEメルマガ
さて、NISA制度を立場ごとのそれぞれの思惑を説明してきたが、確かに 分りにくい、官僚が作った制度だという感がある。
政府自体もスタート時点ですでにそれを感じており、改正を考えている。 この改正の構想は、平成26年度「税制改正要望項目」として平成25年8月 に金融庁からすでに発表されている。
要望項目は「家計の資産形成の支援と成長資金の供給拡大のための 税制上の措置」といかめしい題が付いているが、中身を簡単に見てみよう。
今回スタートするNISA制度の問題点は、
1.同一勘定設定期間内(最長4年間)における口座開設金融機関の変更ができない。 2.一度開設したNISA口座を廃止した場合、同一勘定設定期間内の再開設ができない。 これを以下のように改正しようとしている。
1−1.一年単位で、NISA口座を開設する金融機関の変更を認めること。
2−1.NISA口座を廃止した場合、翌年以降にNISA口座を再開設することを認めること。
第1点目の改正要望を見てみよう。
スタートするNISA制度では、金融機関の変更は、勘定設定期間である
①平成26年1月1日〜29年12月31日
②平成30年1月1日〜33年12月31日
③平成34年1月1日〜35年12月31日
の3期間のみ出来るのだ。
それぞれの期間中は変更はできない。
これが改正されると、極端にいうと9年間各年ごとに金融機関を変更する ことが出来ることになる。 第2点目の要望は、 例えば、NISA制度を利用して投資を開始して(平成26年)間もなく、 海外転勤になったとしよう。
(平成27年)日本における居住者では なくなるため、NISA制度の条件を満たさずNISA口座は解約することとなる。
1.で見た勘定設定期間の終了平成29年12月31日までは、帰国してもNISA 口座の再開が出来ないのだ。
次の勘定設定期間である②の開始、つまり 平成30年1月1日にようやく再開が可能となる。
これが改正されると、廃止 をした年は再開が無理だが、翌年以降に帰国してすぐにでも再開設が可能 となる。
スタートするNISA制度は制限の多い厳しい制度だけに、これらの平成26年度 税制改正の要望内容以外に、更なる改正がおのずと必要となることは目に 見えている。NISA制度を「恒久的な制度にする」という最も大きい要望以外 にも、多くの改正がこれから行われると思われる。